平成26年度 冬の研修会報告

冬の研修会報告:
会場:社会医療法人 一陽会 一陽会病院 社会生活サポートセンター MIRAI
日時:11月29日(土) 13:30~16:30 / 11月30日(日) 9:00~12:00

障害者職業センター 
大野千尋

 初日、公開症例検討会は「卒業のないデイケアでの30代うつ病の方への介入」と題し、通院歴3年、複数回の転職を経て入院し、デイケア通所に至った症例について検討しました。細かく掘り下げていく中で、この症例はうつ病ではなく統合失調症ではないか、という声もあがりました。スーパーバイザーから、最近は分裂気質のうつ病というものもあり、その場合、行動変容と内省がなかなか起こりづらい。繰り返し繰り返し説明し教えること、言葉ではなく体験から学べるようにすること、と話がありました。病名に関わらず、押さえておきたい基本姿勢だな、と思います。このようにひとつの事例を丹念に検討していくことや、多くの視点から物事を見る大切さを再認識した、丁寧な症例検討会だったと思います。

 翌日講演会では、杏林大学の早坂先生から、リワークプログラムの概要からわかりやすく説明していただきました。気分が回復したから症状も回復した、と理解してしまうと再発につながる。気力や易疲労性・興味関心と、自尊心・ストレス対処技能の二つの軸も回復して初めて症状が回復した、ということにつながる。そのため、気分以上に、他の二つの軸をしっかりと支えていくことが必要になるとの説明があり、今まで捉えていた回復過程との違いに、非常に納得しました。また、リワークプログラムの流れは作業療法の流れと同一のものということで、作業療法士のフィールドとしてもっと活躍してよい、というお話もいただきました。

  実践報告で、一陽会病院からは、デイケア通所間もない方からリワークプログラム利用者まで全5グループでできている表が提示されました。構造化されているため流れが明確で、利用者側もスタッフ側も非常に進めやすそうな印象をもちました。さくまメンタルクリニックの報告で興味をもったのは、リワークプログラムを終了した後でも半年間フォローアップをすることで、本人以上に企業側の安心につながるということです。また、目に見える形での適切なフィードバックなど、大変参考になる話を聴かせていただきました。

 リワークデイケアという形は増えているそうです。しかし、企業や家庭などに入ったり、対象となる環境の調整を行ったりと、マンパワーという部分で不足している部分が多いと言っていました。そのような課題が解決され、利用する側・される側双方にとって、安心安全な医療につながっていって欲しいと思います。

 職場柄、生活への復帰と職場への復帰の違いを痛感することも多々あります。今回のお話を今後の支援に生かして行きたいと思います。参加させていただきありがとうございました。