平成31年 代表あいさつ

平成31年幕開けのご挨拶

臨床精神科作業療法研究科
代表 青山 宏


平成最後の正月が明け、今は早春賦が似合う季節となってきました。皆様にはお元気でご活躍のことと思います。日頃は、当研究会の活動にご協力、ご支援をいただき、心から感謝申し上げます。

さて、年末から新年にかけて、「平成最後の・・・」という言葉があふれていました。その平成が30年余りで間もなく終わりを迎え、新しい元号へと切り替わります。この30年間には、嬉しいことや、自然災害を始めとする悲しいことなどいろいろな出来事が起きてきました。私たちを取り巻く環境としての世界の枠組みも大きく変化してきました。特に、科学技術の発展に伴い情報関連の領域には飛躍的な変化が見られました。今では、子どもでも携帯電話やスマートフォンを持ち、使いこなしています。この状況を平成が始まった時に予想できたでしょうか。この情報関連の発達は、便利さという光とともに、分断や孤独、断絶という闇をも同時にもたらしたように思います。今ではインターネットを通じ、だれもが世界とつながり、個人の意見などもSNS等で発信できるようになりました。大国の大統領までもがSNSを通じ自分の見解を発信している状況です。
しかし、世界的なつながりができているような外面にもかかわらず、一方では、SNSなどを通して孤独、分断が、より速い速度で拡散しているようにも感じます。顔を見なくてもいい関係の増大により、差別、憎悪や敵対がむしろ増大しているようにも感じます。平成の先には、どのような世界が待っているのか、小さな不安を感じるのは私だけでしょうか。
当研究会は、平成30年間のうち25年間に渉り活動をしてきました。今年は、研究会活動25周年、定例会400回開催の節目の年です。この間、私たちは、症例検討を通し、顔の見える関係、人と人の関係、援助者と対象者の生の関係に注目し、こだわり続けてきたといえます。そのこだわりこそが、分断と憎悪の世界から人間を解き放つきっかけになると信じて歩みを続けてきました。今後とも、このスタンスを忘れないようにしたいと考えています。
今年の後半には、この、研究会活動25周年、定例会開催400回を記念した研修会を企画していますので、ぜひ、ご参加ください。どうぞ、今後とも当研究会へのご協力とご支援をよろしくお願いいたします。