第177回 定例会報告

上山病院 佐藤知生

 東京,埼玉,福島,岩手,山形からと東日本全域から参加者を頂き,埼玉県立大学学生も含め事例検討会を開催しました.山形から延々5時間かけ,開始時間ぎりぎりで到着しました.医療観察法病棟の症例で,今回は発表資料・検討の記録の発送はありません.ご了承ください.

 通常治療と比較して,治療構造が意識され,より個別的・治療的な関わりができる構造.1年半での治療期間が原則とされ,33床に看護師43名,OTR2名,CP2名,PSW3名,Dr4名のスタッフでチーム医療を展開.週1回全患者さんの全職種での治療評価会議,月1回は入院患者さん含めた会議あり.

 作業療法室が病棟内で配置.個別活動もやりやすくあり.
  治療方針については,毎月の面接会議で決定される.本人からの要望,職種からの提案の上,決定.

 医療費は公費負担.外泊時に付き添う職員などもあり.
 それぞれの職種が目に見える状況でチームとして活動するために,役割を作業療法士の側も問われる職場という環境.

 そのような環境の中で,今後の展開が行き詰まった症例の検討会でした.

 複数の精神科病院への入院歴があり.地域住民へ暴行をはたらいてしまい,今回の医療観察法によるとなった.自らの犯罪行為を認めず,病気を認めず.入院が長引いている状況で,試行錯誤した経過の報告.

 今後の展開が見通せなくなっている状況を,どう打開していけばよいか,熱心に参加者全体で検討されました.

 作業療法で向かい合うことのできる健康的側面はとても大きく,体験からくる積み重ねが確実に生じていくものだと,またキーパーソンの作業療法士の存在の大切さ,その環境・存在を継続できることの重要さを感じた経過でした.

 詳細内容の報告ができないことは残念ですが,症例提供者の良い雰囲気,それをフォローする職場の同僚の参加,医療観察法病棟での経験のある大橋理事のスーパーバイザー的な進行・補助のもとに,充実した感,共有できた感を味わえた症例検討会でした.