平成27年 新しい年を迎えて

臨床精神科作業療法研究会 
 代表 青山  宏


 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 今年こそ、いい年になりますよう、心から祈りたいと思います。

 今年は、阪神淡路大震災から20年、東日本大震災から4年の節目の年となります。この20年間、そして4年間、何が変わり、何が変わらなかったのでしょうか。昨年も、また、さまざまな自然災害、人的災害、戦争にテロと、慄然とするような事態に満ちた年でした。もちろん、心温まるニュースもあったはずですが、何故かすぐには頭に浮かんできません。そして、年末には衆議院選挙も行われました。秘密保護法、集団的自衛権、原子力発電所の再稼働・・・。消費税の陰に、重要な問題が隠れている選挙でしたが、投票率は驚くほど低く、現状が固定されてしまいました。戦争の悲惨、原発事故への恐れは、忘れられてしまったのでしょうか。おびただしい情報の流れの中で、とても大切なものが、急速に忘れ去られ、失われていく現状、それを切実に感じざるを得ません。

 情報量に起因した刹那の情動や感情が、忘れないこと、関心を持ち続けることを阻害しているとさえ思われます。しかし、今一度、世の中の現実や、臨床で起きる様々な出来事に、「目を閉ざさない」、「耳を閉ざさない」、「口を閉ざさない」で、向き合い、踏みとどまり関心を持ち続け、考え続けることの大切さを確認する必要があるのではないでしょうか。
 
 幸い、私たちは、臨床の症例に学び続け、作業の力を信じ続けるという共通基盤を持って、この研究会に集っています。研究会活動を続ける中で、流されず、あわてず、焦らず、自分の力を蓄え、磨きながら、今年も、共に歩みを続けていきたいと思います。

 最後に、本年の皆様のご多幸をお祈りするとともに、来年の年頭の挨拶が、明るく希望に満ちたものになるように願ってやみません。

2015.1.1