当研究会が症例検討にこだわる理由は、症例を検討するということは、とりもなおさず臨床の症例を通して学ぶということだと思うからです。
精神障害領域における作業療法は、対象者を中心に作業療法士、作業活動などの環境が織り成す、ひとと環境の相互的な関係を基調とするダイナミックな過程です。そこでは対象者個人が持つ特性とそれに関わろうとする作業療法士個人の特性が相互に影響しあうことによる反応の微妙なずれや共感、病院など医療の現実的枠組みへの違和、取り巻く環境の影響など多様な想いがその過程に反映してきます。
症例検討は、その過程について実感をもって振り返り、考え、整理し系統的に言語化して語ること。語られたことについて自分の体験を手がかりに対話することを通して作業療法過程を共有し、個人としての成長と作業療法士としての実践の力を高めていくことに他ありません。
これを通してしか作業療法実践と個人の資質を高めるすべはないように思います。
(当研究会会誌創刊号 代表挨拶より抜粋)
概要
*代表者
青山 宏(西九州大学) >>役員一覧へ
*結成年
1993年4月
*活動内容
・定例会:年4回程度
・総会: 7月(予定)
・公開症例検討会:11~12月(予定)(外部講師による)
*参加資格
精神医療、福祉、教育その他の諸分野に従事し、本会の趣旨に賛同して入会を希望される方。
定例会については会員以外も随時参加可能。
*アクセス方法
毎回の情報が欲しい方は入会が原則。
年会費3000円。 >>入会案内はこちら
*事務局
〒990-0037
山形県八日町2-1-29
PHONE 090-6629-1910
FAX 023-634-5872
発足時の話
大橋秀行先生(南浜中央病院)が国立仙台病院附属リハビリテーション学院に赴任された時、香山明美先生(東北文化学園大学)と、宮城県内の精神科病院に勤める作業療法士(Occupational Therapist Registered ; 以下OTR)が集まる機会を作ろうということで近隣のOTRに声がけをしたのがはじまりです。
当時はまだ卒業したての若いOTRが多く、情報を求めて宮城県のみならず山形や福島など南東北の各地からやってきました。
最初は情報交換を行っていました。そのうち定例で何か行いたいという話になり、話し合いの結果「症例検討をしよう」ということになりました。
臨床家が大半を占める研究会のメンバーで、目下の関心事は今自分が担当している症例にどうしたらよりよい治療を行えるか、また現在自分が行っている作業療法は果たして正しいのだろうかという2つのニードから「症例検討」 を定例会に必ず入れることになりました。
これが現在の当研究会の原型です。その後症例検討会に外部講師をお招きすること、公開症例検討会にして広く他職種の方にもOTを知ってもらうことを目的として現在まで活動を続けてきました。